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VG20ET ジェットターボのミソ

と、いうわけで今回はVGネタ。

相変わらず整備に回すお金がないのでね、トホホ……。(みなさん部品を買う際は僕のリンクから飛んでくださいっ! 笑)

 

さて本題、タイトルに困っちゃったけどジェットターボについて。

このジェットターボってのは要するに可変ノズルターボのこと。回転数に応じてタービンの中にあるフラップが開いたり閉じたりして空気の流速を制御する仕組みだ。回転数が低い=排気圧が弱い時にはフラップを閉じて空気の通り道を細くして流速を上げ、過給効率を上げる。回転数が高い=排気圧が高い時にはフラップを全開にして空気抵抗を少なくし、排気圧のロスを減らしてやる仕組みだ。

 

と、ここまではWikipediaに乗ってる内容をざっくり書いただけで、読み覚えがある方もいるかもしれない。こっからは日産の整備書やカタログを見ていこう。

 

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▲おなじみY30セドリックの後期型カタログより

【世界初、電子制御可変ノズル式を採用した、超高性能VG20E・T型「ジェットターボ」エンジン】

な~んて仰々しい文言が並んで【超高性能】なんて自分で言っちゃってるあたり時代である。この時代のカタログって日産問わずエンジンの部品名や専門用語がバンバン出てきて、あたかも「みなさんご存知!」みたいな感じで用語に対する解説とかもないから面白い。逆に今どきは「快適性」とか「利便性」「安全性」なんかがメインで、エンジン性能云々を大々的にアピールしてるのはほとんどない。これまた時代である。ちなみにプラズマってのはトヨタのレーザーに対抗したネーミングってのは周知の事実。

 

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▲サービス周報より

さて、話は戻ってメカニズムについて。仕組み自体は冒頭で述べた通りで、回転数が低いときはフラップを閉じて流速を上げる。高回転時はフラップを開いて排気抵抗を減らしてロスを減らす仕組みだ。ちなみにカタログには電子制御と書かれているが、このフラップ自体を直接モーターかなんかで動かしてるわけではなく、過給圧に応じてPCVバルブを開閉し、タービンアクチュエータと同様に過給圧で動くスイングバルブを介してフラップを動かしてる。なのでジェットターボエンジンにはPCVバルブとアクチュエータが二個ある(普通は一個)。

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PCVバルブ

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▲サービス周報より

ただこのジェットターボ、【超高性能】かどうかといわれればそんなに高性能ではないだろう。上のグラフを見ても分かる通り、従来のタービンと比べて大幅に性能が向上しているというわけではない。トルクで言えば1kgくらい、馬力は多く見積もって10PSくらいだろうか。ついでに言えばグロス値だからY30みたいな重たい車に載っけたら結局-20PSくらいは出力が落ちてるんではなかろうか。ただ、レスポンスの向上はあると思う。とはいえドッカンなところも否めない。

 

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▲サービス周報より

ちなみにこれ、可変ノズルがあるぶん普通のタービンに比べてハウジングがバカでかい。本当にデカい。「当時はY30がよく入ってきた」なんて語ってくれたディーラーの方も「Y30のジェットターボでしたっけ?!こ~れ普通のに比べてすっごく大きいからこのまんまじゃ抜けなくて…そう、よくメンバーごと下ろしてましたよ~」なんて言ってたくらい。上のサージタンクも外す必要があるから大変な作業になること間違いなしだ。

 

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 で、結局。部品点数とか工数なんかのコストの割に大した性能が望めなかったのか、このジェットターボってのはVG20ETに採用されたっきり後継のエンジンに受け継がれることはなかった。Y30以外の搭載車種もF31とC32くらいで、今現在まともな数があるのはY30くらいだろう。Z31も登場時はVGエンジンが搭載されていたが、あとから出てきたセラミックターボのRB20DETの影にVGは埋もれてしまい、後期型にジェットターボVGが搭載されることはなかった。

 

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以上、儚く短命で終わった超高性能エンジン、VG20ETジェットターボの話でした。

 

 


【Y30セドリック】VG20ET 走行風景

 

 

 

nabe1945.hateblo.jp